eSIMとは

基本説明

「eSIM」という用語はここ数年で急によく目にするようになりました。新しい携帯電話の購入を検討しているときや通信会社の広告で目にしたことがあるかもしれません。 

SIMカード(「加入者識別モジュール」の略)は1991年に発売が始まり、現在では携帯電話やその他のモバイルデバイスに不可欠な電子部品となりました。この小さなプラスチックカードのおかげで、デバイスは世界に1つだけのものになります。また、モバイルネットワークへの接続や、メッセージと電話の送受信の機能が利用できます。 

しかしここ数年で、従来のSIMカード技術を強化、あるいはそれに代わるものとしてeSIMに力を入れるプロバイダーが増えています。グローバル化への傾向がますます強まる現代社会において、スマートフォンユーザーにとって、複数のネットワークへの接続や別のローミングプランへの簡単な切り替える必要性の優先順位が急速に高まっているのです。 

現在30年前に誕生したSIMカード技術の限界に対する答えが2012年に開発されたeSIMなのです。eSIMの本質は単一のデバイスに複数の異なるSIMカードプロファイルを格納できるマイクロチップであることです。異なるサービスまたはネットワークプロバイダーが必要になったとき、カードを物理的に取り替える必要がなくなります。

つまり、国と国を移動したり、個人の電話番号と職場の電話番号を切り替えたりする場合にとても便利だということです。 

それではeSIMとは何でしょうか? そしてどんなときにeSIMを使うべきなのでしょうか? 

eSIMの仕組み

従来のプラスチックSIMカードとは異なり、eSIMはいつでも再プログラムできます。モバイルデバイスにあらかじめインストールされているマイクロチップに、ダウンロードされるソフトウェアで構成されています 「e」は「embedded(埋め込み)」の略です)。これにより、従来のSIMカードと同様の機能が使用できるようになります。

デバイスをモバイルデータネットワークに接続し、通話やテキスト メッセージを送受信したり、インターネットを閲覧したりできるようになります。その魅力の鍵はデジタル機能にあります。マイクロチップは複数の異なるeSIMプロファイル、データプラン、連絡先番号が「保存」できます。

地域やモバイルサービスプロバイダーごとに異なるSIMカードを持つ必要はありません。SIMカードを紛失して何時間も家中を探し回った経験のある人には朗報です。 

携帯電話メーカーやサービスプロバイダーはデジタル革命の次のステップに向けて準備を進めているので、新しいスマートフォンにeSIMの互換性が搭載されることがますます一般的になっています。 

eSIMを使う目的

2012年にはじめて開発されたeSIMは、もともとモノのインターネット(IoT)分野で時計、テレビ、掃除機などのインターネットに接続された「スマート」オブジェクト間の通信方法として使用されていました。 家庭用電化製品の中でも特にスマートフォンにeSIMへの使用が考えられるようになったのは、比較的最近の開発段階のことですが、急速に脚光を浴びるようになっているのは注目すべき状況です。

Apple、Nokia、Samsungなどの主要な携帯電話メーカーは、2023年現在多くの新モデルにおいてeSIMハードウェアを標準搭載しています。eSIM対応したiPhoneが初めて登場したのは2018年のことでした。

そして今年、AppleはiPhone 14のeSIMのみのバージョンで物理的なSIMカードの使用を完全に廃止しました。eSIMの技術と可能性に対して一般の人の認識が高まるにつれて、今後期待できる用途と利点も増えてきています。 

一般的な旅行や観光などをご旅行の計画中の方や海外にいる家族がいる方ならば、きっとこの新技術が役に立つことでしょう。複数の物理SIMを切り替えて安全性を保つという複雑なプロセスが、完全にデジタルプロセス化されます。

eSIMならばローミングプランや新しい番号の追加や削除が、QRコードをスキャンするのと同じくらい簡単です。最新のiPhoneモデルには最大8つの異なるeSIMプロファイルを同時に保存する機能を備えています。通信業界がこの新技術に取り組んでいるというの大きな証と言えるでしょう。 

もちろんeSIMを使ってメリットがあるのは個人の顧客だけではありません。中小企業から大企業まで、組織や企業がeSIMの使用を大規模に採用しています。既存のeSIMに会社用の番号を新たにダウンロードするだけで、従業員が職場の電話を使えるようになる理由このインスタント機能により、企業は複数のデバイスを同時にプログラムおよび再プログラムすることも可能になり、やはり全体的にコストと時間の節約につながります。 

eSIMを使用方法について

互換性のあるデバイスをお持ちの方なら誰でもeSIMを使用できます。今ではモバイルデバイスに新しいeSIMプロファイルをインストールが数分で完了します。お使いのデバイスがeSIMに対応しているかどうかは、製造元のウェブサイトですぐにご確認いただけます。チップ自体がすでにデバイスのハードウェアの不可欠な部品なので、あとは新しいプロファイルをダウンロードするだけで完了します。QRコードのスキャンやリンクのクリックと同じくらい簡単な作業です。BetterRoaming eSIMのダウンロードとインストールのガイドについては、eSIMのインストール方法ページをご覧ください。 

eSIMと従来のSIM

こうした市場の変化の原因は、その機能的な面によるものだけではありません。プラスチック製のSIMカードも現在ではクレジットカードのサイズだった90年代初頭のころよりも大幅に小型化されていますが、環境への負担は引き続き解決されていません。ポリ塩化ビニルやシリコンや金で作られているため、家庭でのリサイクルには不向きです。新しく買ったSIMカードは大きなプラスチックカード容器に入れられているので、環境への影響は増大するばかりです。 


物理的なSIMカードは今もスマートフォンに必要な電子部品です。しかし、eSIMならばユーザーは複数のプラスチックSIMカードを所有する必要をなくなり、携帯電話業界の材料使用量は大幅に削減されます。銀行業界が物理的なプラスチック製クレジットカードからデジタルカード決済に徐々に移行しているように、eSIMは製品サイクルにおける合理的な次のステップになると考えられています。気候危機の加速が進む中、通信会社は持続可能性を公共イメージの重要な部分として位置づけています。そこでeSIMが重要な役割を果たしていることも少なくありません。 


eSIMは現状においてあらゆる場所の電話ユーザーのネット接続性を強化できるシームレスな方法となっています。従来のSIMカードを直接置き換えることはあまりありませんが、SIMカードと連携してさまざまな新しい用途やオプションを提供することができます。すでに広く使用されていますが、その可能性はまだ多くの余地があります。